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ワーケーションを新たな創造の場に———————


アフターコロナの働き方

2023.06.28

【あたらしい「ふるさと」は交流・関係人口から】

 いわゆる「東京生まれ東京育ち」が東京都の人口の過半数となった今(2016年社会保障・人口問題基本調査第8回人口移動調査に基づく) 、「ふるさと」という言葉も、「自身の出身地」以上に「自然豊か、緑、田舎」といったイメージを持つことも多いのではないだろうか。親の実家や生まれ故郷などの地縁が無くても、地域と関わる人たちのことを、「交流人口」や「関係人口」と呼ぶ。これは自分にとってのある種「ふるさと」を見つけ、地域への愛着によって示すことができる。コロナ禍を経て、オンラインでは経験できない地域でのリアルな体験を求める様子は近頃の旅行者回復傾向の報道等でも見て取れる。交流・関係人口の増加はハードルの高い「移住」よりも容易であり、地域活性化の鍵ともいえる。愛知県は名古屋市ほか大都市がある一方で同じ県内に例えば、奥三河などの多くの自然や歴史を有した地域があり、都市部住民には魅力的に捉えることができるだろう。

【ワーケーションとは】

 近頃、ワーケーションという言葉が流行っている。従来は、ワーカホリック(仕事中毒人間)に休みを取らせようとする苦肉の策として、休みながらもリモートワークを行う(オフィス外で働く)仕組みとして始まったものがひとつの由来と言われている。

 この流れとは全く関係はないが、コロナ禍で在宅勤務を半ば強制的にやらざるを得なかった状況は、リモートワークの環境構築が一気に進んだといえる。どこでも働けることで、ワーケーションの可能性を感じる方も多いのではないだろうか。

 ワーケーションを定量的に評価することは難しいが、場所を変えてリモートワークすることは例え同じ作業でも新鮮味があり、特別感も感じることだろう。例えば写真のような緑に囲まれたキャンプスタイルも不可能ではない。人によってはこういった映える状況写真をSNSにアップすることだろう。そして、ワーケーションは交流人口・関係人口へのきっかけともなる。

絶景を目の前に(ワークスペース利用実験の様子)

【ワーケーションを通して「思わぬ出会い」を増やそう】

さて、アフターコロナを迎えつつある今、人は何のために出社やオフィス利用を考えるだろうか。リモートではできないこと、つまりリアルを求められるものとして、社内外や特定グループでの連携や創造性の発揮のため、ひとつの場所に集まり対面で交流する必要性を再認識する人も多いだろう。むしろコロナ以前よりも交流を促進し、それを通した様々なモノ・コトへの気づき・発見など「思いがけぬ出会い」が求められていると思われる。

 しかし、そのような場所・環境がオフィスにあるとは言い難い。思い切った居室の変更はハードルが高く、なおさら、空間として「オフィス内で」とする必要性は無いかもしれない。そこで、脚光を浴びるのが、ワーケーションである。もはや遠い昔の行事と受け止められるかもしれないが、社員旅行や社内合同研修などといった活動も、ワーケーションを通して内容をアップグレードして、取り組むことができる。これは、ワーケーションを通して、地域で「働く」・「楽しむ」と同時に、地域から「学ぶ」・「知る」、「地域を題材にして課題解決を考える」なども含めることができるからだ。

 依然としてワーケーションに決まった枠はないが、アフターコロナでのリアルの重要性を再認識し、思い切ってオフィスを飛び出し、創造性の高いメニューを組んで企業・組織、仕事仲間で実践し、「思わぬ出会い」を創出してみてはどうか。

非日常的な働き方も(キャンプ場でのワーケーション試行)

宮田 将門

みやた まさと

三菱UFJリサーチ&コンサルティング

政策研究事業本部 研究開発第2部(名古屋)

主任研究員

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