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INTERVIEW

レース体系の整備やヒーローの育成でモータースポーツを活性化

2024.02.28

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東京中日スポーツでは、従来からモータースポーツの情報発信に力を入れています。今年に入り、ヤマハファクトリーレーシングチーム(以下、ヤマハチーム)の若手ライダーとして成長著しい岡本裕生選手の対談記事を企画させていただきました。まずは岡本選手をご紹介ください。

小野 岡本裕生選手は現在24歳、2016年に全日本に昇格して以降、ST600クラスやST1000クラスで経験を積み、22年に私たちヤマハチームに加わるとともに、全日本ロードレース選手権最高峰のJSB1000クラスに参戦しました。このクラスでは、同じくヤマハチームの大ベテラン、中須賀克行選手が絶対王者として君臨し、過去10年で8回のチャンピオンに輝いています。岡本選手はこの中須賀選手になかなか勝てませんでしたが、23年シーズンはついに1勝を挙げ、年間ランキングでも中須賀選手に次ぐ2位に入りました。次代のエースとして期待しています。

どんなスポーツでも、生きのいい若手がベテランに挑む姿はドラマになりますね。中須賀選手は若手にとってどのような存在なのでしょうか。

小野 彼は現在42歳で、体力的には年々衰えているはずですが、毎シーズンの開幕にはしっかり体をつくって現れます。若手にとってはお手本であるとともに高くそびえる壁です。だからこそ、岡本選手が1勝できたのは大きな意味がありますし、観戦するお客様にとっても競い合うレースは興味が湧くと思います。

全日本ロードレース選手権JBS1000クラスのチャンピオン、中須賀克行選手が乗ったYZF-R1と並んで笑顔を見せる小野さん。絶対王者の中須賀選手に対し、今後岡本裕生選手がどう挑むのかに注目が集まる。

対談企画では、1月にWBCでも活躍した中日ドラゴンズの高橋宏斗投手、2月にはラグビー静岡ブルーレヴズの河田和大選手と顔合わせいただき、記事を掲載しました。岡本選手の反応はいかがでしたか。

小野 ロードレースで結果を出した選手が最終的に目指すのは欧州です。高橋宏斗選手もいずれはメジャーに挑戦する可能性がありますし、河田選手も目指すところは日本代表ということで、海外志向のある若者同士が対談するのは刺激になったようです。

2024年1月27日付 東京中日スポーツ掲載
ヤマハファクトリーレーシングチームの岡本裕生選手の対談企画で、中日ドラゴンズの高橋宏斗選手とラグビー静岡ブルーレヴズの河田和大選手が登場。世界を目指す若手同士が意気投合する内容となった。

2024年2月16日付 東京中日スポーツ掲載

先ほど、岡本選手がステップアップして最高峰クラスに参戦したとのお話がありました。若手が力をつけるには、ステップアップレースの存在が不可欠ですが、この点での御社の取り組みについて教えてください。

小野 才能のある選手に対し、トップカテゴリーに上がっていけるステップアップ構造を明確にしてあげることが重要だと考えています。そこで、19年から欧州で、320ccのR3カップをスタートさせました。ヤマハのワンメイクレースですが、現在は世界選手権の格式となり、「Yamaha R3 bLU cRU FIM World Cup」という名称になりました。R3の取り組みはアジアや中南米でも実施し、各地域の優勝者が欧州に挑戦するサポートも行っています。また、日本でもJP250といったレースで若手有望選手にチャンスを与え、ここで結果を出した選手は欧州のR3 World Cupに上がれる仕組みをつくっています。以前の日本でも、平忠彦選手のようなスター選手がいたことでモータースポーツが盛り上がった時代がありましたが、世界各地でローカルヒーローが生まれることで、モータースポーツ界全体が活性化してほしいと願っています。

東京中日スポーツでは、多様なスポーツを取材していますが、ヒーローが欲しいという声はどの業界でも聞かれます。御社はロードレース同様、モトクロスにも注力されています。最新のトピックをご紹介ください。

小野 オーストラリア出身のジェイ・ウィルソン選手が全日本モトクロス選手権に参戦しています。彼は22年に来日してヤマハと契約、250ccのIA2クラスでいきなりチャンピオンを獲得すると、翌23年には450ccの国内最高峰、IA1クラスでもチャンピオンとなりました。彼がすごいのは、圧倒的な速さに加え、後進の育成やマシン開発など、チーム全体の底上げや強化にも貢献してくれている点です。特に育成面では、海外で定着しているシステマチックなコーチングのノウハウに基づいて、若手に目標管理の大切さを説いてくれています。

2022年に来日したジェイ・ウィルソン選手が、同年のIA2クラス、23年のIA1クラスと、全日本モトクロス選手権で2年連続のチャンピオンに。写真は23年優勝車のYZ450FM。

そのほか、全日本トライアル選手権では、23年から電動トライアルバイクのTY-Eでフル参戦に挑戦され、全日本史上初の表彰台も達成されましたね。

小野 脱炭素への取り組みとして、マシンの電動化と燃料のカーボンニュートラル化の2つの選択肢があります。ロードレースはバッテリー容量に課題があるためマシンの電動化は困難ですが、トライアルは電動バイクを試す良い機会だと捉えています。昨年、TY-Eで初めてフル参戦し、最終戦に出場できる年間ランキング10位を目標に掲げましたが、期待以上の3位という結果を残すことができ、表彰台も2位が2回、3位が2回、合計4回という嬉しい結果となりました。24年シーズンは、1位での表彰台と年間チャンピオンを狙えると期待しています。また、TY-Eは市販するマシンではありませんが、ここで培った技術や知見は市販EVに生かせるはずなので、社会貢献としての意義も大きいと考えています。

全日本トライアル選手権で史上初めての表彰台を実現した電動トライアルバイク、TY-E 。18年の初代登場以来、レースを通じてアップデートを続け、最新モデルはバージョン2.2。

小野 当社の情報発信はウェブサイトやSNSが中心ですが、以前からのファンにとっては新聞が情報源だという方も多いと聞いています。そんな中でも東京中日スポーツさんは、一番熱心にモータースポーツを取り上げていただいているのでありがたい存在です。モータースポーツ人口を増やすには、まずは興味を持っていただくことが重要なので、今回の対談企画やレースレポートなどの形で今後もご協力いただければと思います。

モータースポーツ界を盛り上げるために今後も貢献できればと思います。本日はありがとうございました。

ロードレース世界選手権の最上位クラス、MotoGPには1961年から参戦し、通算100勝以上を達成。直近では、21年にファビオ・クアルタラロ選手がYZR-M1でチャンピオンに輝いている。

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