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2020.02.19

東海エリア2020年プロジェクト動向

2020年、名古屋・栄地区が大きく変わる

2020年に再開発が進む名古屋・栄地区

【名古屋都心部の開発は、名駅から栄へ】

 今年は東京オリンピック・パラリンピックイヤーということもあり、東京のみならず、日本中がその気運に乗り、活気が呈されることが予想される。東海エリアでも、直接関連するプロジェクトは限られているが、依然、各地でプロジェクトは活発に動いている。
 特に、今年は、名古屋・栄地区の再開発ラッシュの動向が注目される。ここ数年、名古屋駅界隈の再開発の動きが目立ったが、もうひとつの繁華街、栄地区においてもさまざまな計画が具体化し、動き始めている。丸栄百貨店の跡地においては暫定施設としての再開発が検討されるほか、栄交差点では、11月を目指し、大丸松坂屋百貨店が新しい商業施設の開発を進めている。また、久屋大通公園の再整備が7月までに行われ、新たな賑わい空間が生まれるほか、夏頃には名古屋テレビ塔もリニューアルオープンし、ホテルなどが誕生する。栄バスターミナル(噴水南のりば)跡地では、暫定利用として、イベント広場と飲食空間などから成る「ミツコシマエ ヒロバス」が2月22日に誕生する。また、栄の地下街「サカエチカ」も昨年11月にリニューアルを終えたほか、地下鉄伏見駅には新たな商業施設「ヨリマチ」も同12月に誕生するなど、着々と栄周辺のまちは新しい繁華街へと姿を変えつつある。その後も、2024年度完成予定で中日ビルの建て替え計画が進むなど来年以降も栄から目が離せない。
 また、栄地区周辺では高層マンションの開発が進んでおり、これらの商業施設を地元需要として支える。栄地区はリニア開通により、名古屋駅を経由して東京まで1時間圏内となる地域であり、これからも住宅供給はさらに進むであろう。また、名古屋の弱みとも指摘されていた起業を促す取り組みとして、新しいビジネス拠点として活用できるスタートアップ施設が都心部に続々と誕生しているのも注目される。

【大河ドラマ「麒麟がくる」効果に期待】

 岐阜県で今年最も注目されるのが、大河ドラマ「麒麟がくる」効果である。岐阜県にゆかりの深い戦国武将・明智光秀を主人公として描かれることから、ゆかりの地である各地では、大河ドラマ館を開館するなど、全国からの観光客の来訪に期待している。大河ドラマ館は、岐阜市、可児市、恵那市の3カ所で開館し、いずれも今年の1月11日から来年の1月11日までの1年間開館。各地には大河ドラマ館のみならず、お城などの歴史資源もあり、それらの周遊効果に期待される。
 また、岐阜県では、秋に第33回全国健康福祉祭ぎふ大会「ねんりんピック岐阜2020」が開催される。東京オリンピック・パラリンピック閉幕直後の開催となることからも、スポーツの全国の祭典として注目される。

▼「麒麟がくる」の観光効果が期待される岐阜市

【三重県では大型リゾート施設「VISON」に注目】

 今年の秋、自然豊かな三重県多気町に、宿泊・飲食・温浴・体験・産直市場・薬草園・農場などが集結する一大リゾート施設「VISON(ヴィソン)」が誕生する。立地は伊勢自動車道・勢和多気JCT近くで、敷地面積約115haのうち開発面積は約53haと多くの自然を残し、森の中にある滞在型複合リゾートとなる。
 「癒し」と「食」をテーマに、さまざまな施設で構成される。四季を感じる宿泊施設のほか、日本の伝統的な料理道具をはじめ、和食の食材メーカーによる体験型店舗、様々な薬湯を提供する温浴施設、三重県南勢地域の鮮魚や肉、野菜などを販売するマルシェ、ケーキ店や石釜パン店、サスティナブルなオーガニック農園など、約50店が揃う商業ゾーンなどのほか、特徴ある飲食施設などが計画されている。伊勢自動車道の上り線には、全国初の民間施設直結ICも新設され、伊勢神宮参拝帰りの観光客を呼び込むことも期待できる。

【東海エリア唯一の東京オリ・パラ会場】

 静岡県では、東海エリアでは唯一となる東京オリンピック・パラリンピック会場となる伊豆市、小山町の自転車競技会場が注目される。「トラック・レース」は、オリンピック・パラリンピックともに伊豆ベロドローム(伊豆市)で開催。「マウンテンバイク」(オリンピックのみ)は、伊豆マウンテンバイクコース(伊豆市)が会場となる。オリンピック「ロードレース」のゴールおよび「ロードレース・タイムトライアル」、パラリンピック「ロードレース」は、富士スピードウェイ(小山町)を中心に開催。
 静岡県では、五輪を契機にサイクルスポーツを根付かせ、サイクリストの聖地“ふじのくに”を実現する取り組みも進める。五輪以降も、国内外から自転車競技者らを集客し、地域活性につなげる狙いである。

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■編集:中日新聞広告局・三菱UFJリサーチ&コンサルティング
■執筆:田中三文(三菱UFJリサーチ&コンサルティング政策研究事業本部 上席主任研究員)
    内田俊宏(中京大学経済学部 客員教授)ほか
■ISBN:978-4-8062-0760-3