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INTERVIEW

独自技術とブランディングでオンリーワン企業に

2020.02.20

ーー 貴社が2007年に販売を開始したタオル「エアーかおる」は、肌触りの良さや吸水性が高い評価を受けて大ヒットし、数々のメディアにも取り上げられています。2014年には、中日新聞社が主催する「第28回中日産業技術賞」で特別奨励賞を受賞されました。エアーかおるはどのように生まれたのでしょうか。

浅野 弊社は社名のとおり撚糸メーカーなので、最初からタオルをつくっていたわけではありません。岐阜、とりわけ水の豊富な大垣市や弊社のあるあんぱち安八町はもともと紡績が盛んなエリアでしたが、2000年代に入ったころから海外の安い製品に押され、弊社も一時は経営が行き詰まる事態になりました。そのときに感じたのは、誰にも真似できないオンリーワンの商品をつくることの必要性です。5年の歳月をかけて、柔らかく毛羽落ちも少ない撚糸「スーパーZERO」を開発し、この糸を生かした最終製品として、三重県の老舗タオルメーカーとの共同開発でエアーかおるが誕生しました。

ーー 当初はなかなか売れずに苦労されたと聞いています。徐々に認知されていき、大ヒットになった経緯を教えてください。

浅野 エアーかおるが販売を開始した当時、タオルは買うものではなくもらうものだという考え方が一般的だったので、売れないのも無理はないですよね(笑)。ところが、エアーかおるには我々も意識していなかった高い実力がありました。吸水性や耐久性です。それが口コミで広がり、認知度が上がり、通販番組で紹介していただいたり、テレビ番組で取り上げていただいたりする機会が増えていったんです。現在は生産が追い付かないため、三重だけでなく、愛媛の今治や大阪の泉州でも生産しています。また、スーパーZEROを使いたいという要望に対しては、国内外を問わず供給しています。

ーー エアーかおるの原料である撚糸のスーパーZEROを供給してしまうと、同等のタオルを販売するライバルが現れることになりませんか?

浅野 タオルに関してはその懸念はありますが、弊社はもともと撚糸メーカーですから、スーパーZEROを使いたいという企業にはきちんと供給するのが筋だろうと思っています。また、会社の将来を考えれば、企業規模の大きくない弊社がタオルの売上をライバルと競うことよりも、撚糸や製品、そして企業としてのブランディングをしっかりやっていくほうが得策だと考えています。

ーー 2019年10月22日には、本社に隣接する初めての直営ショップ「エアーかおる本丸」をオープンされましたね。直営ショップをオープンした意図、貴社にとっての位置づけはどのようなものなのでしょう。

浅野 大きな意味では、これもブランディングの一環です。エアーかおる本丸にはアウトレット商品の売り場もありますし、ショップの裏に先代社長が住んでいた古民家があるのですが、いまはこの家を庭園のあるカフェに改装中です。多くのお客様に来ていただき、観光地として盛り上がれば、弊社にとってイメージアップになるのはもちろん、安八町の活性化にもつながると期待しています。

ーー 2022年度中に福島県双葉町に新工場を稼働させる計画が発表されました。中日新聞、東京新聞は、東日本大震災以降、福島についての報道に力を入れてきた経緯もあり、この新工場についてもぜひお聞きしたいと思っていました。

浅野 私は福島大学を卒業しているので、東北地方の東日本大震災からの復興については関心を持っていましたが、具体的に何かをしてきたわけではありません。そんなときに経済産業省「繊維の将来を考える会」を通じて、福島県の工業団地の誘致の話がありました。東日本大震災とは比べるべくもありませんが、実は安八町も1976年の水害で壊滅状態になり、取引先をはじめ、多くの方の助けを借りて復興した経験があります。福島県のなかでも双葉町は、福島第一原発事故後の風評被害に苦しめられた場所ということもあり、現地視察や社内会議の結果、ぜひ復興に貢献したいということで工場建設を決めました。また、双葉町は今後の復興で注目されるので、弊社にとっても自社をブランディングする大きなチャンスです。双葉工場にも「二の丸」となるショップを併設したいと考えていますし、安八町の本丸同様に多くの方が観光に訪れてくれれば、それが復興の後押しにもなります。そのためにも新工場を成功させる必要があると考えています。

ーー エアーかおる本丸と双葉町の新工場は、地域貢献やブランディングという点で一続きなのがよくわかりました。エアーかおる本丸のオープン時には新聞広告もご出稿いただきましたが、新聞広告に期待することやご要望などがあればお話しください。

浅野 弊社の広告は、セール情報や先着プレゼントといったものではなく、浅野撚糸という会社の考え方をお伝えすることで、企業としての認知度アップやイメージアップ、仕事の広がり、従業員の安心、良い人材の確保などにつなげたいという狙いがあります。そういう意味では広告に対する期待は大きいですし、これからもこうした広告は続けていくつもりなので、今後ともよろしくお願いします。

ーー 本日は貴重なお話をありがとうございました。

エアーかおる本丸でエアーかおるを手にする浅野社長。販売枚数は累計850万枚以上。
※PDF表紙のビジュアルは浅野撚糸工場内の「スチームセッター」です。

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