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2018.09.10

名古屋の百貨店、ジェイアール名古屋 高島屋の売上が№1
丸栄の閉店後、再開発計画が目白押しの栄地区

75年間の歴史に幕を下ろした丸栄

ジェイアール名古屋 高島屋の売上が3年連続1位

 2017年の名古屋市内主要百貨店の売上を見ると、名古屋駅(以下名駅)地区のジェイアール名古屋 高島屋が1,514億円と前年比約18%増と大幅な売上増で、3年連続で名古屋の百貨店売上1位となった。同店は、昨年4月に新たな商業施設「タカシマヤゲートタワーモール」が開業したことが影響し、大幅に売上を伸ばした。他の4店舗はいずれも前年比で売上は減少しており、昨年はジェイアール名古屋 高島屋のひとり勝ちとなった。

 しかし、今年に入ってからの直近の売上を見ると、各店舗ともに概ね順調な売上推移を見せている。今年の4月度と6月度においては、名駅、栄両地区の4店舗全てが前年を上回っており、高島屋のひとり勝ちの様相とは異なる。各店舗ともに、それぞれの強みを活かした販売戦略などで健闘している状況であり、名駅地区、栄地区の区別なく各店舗ともに好調である。

丸栄閉店は栄地区再開発のプロローグ

 名古屋の百貨店の老舗である丸栄が75年の歴史に幕を下ろし、今年6月30日に閉店した。最終日には、店舗前の路上に溢れるほどの多くの丸栄ファンが訪れ、その別れを惜しんだ。ややもすれば、丸栄の閉店は、栄地区の地盤沈下を表すものと捉える向きもあるが、むしろ、新しい栄地区の未来に向けたプロローグであると捉えたい。上述したように、栄地区の百貨店は低迷を続けているわけではない。栄地区には、市民の憩いの場でもある公園があり、頻繁にイベントが開催されるなど、名駅とは違う魅力もあり、従来から地下街と地上が繋がる界隈性も栄地区の大きな強みでもあり特徴でもある。

 ここ数年続いた名駅地区の再開発がひと段落し、今後は栄地区の新たな展開にも注目が集まる。閉店した丸栄は解体され、新たな施設開発が進められる。広小路通を挟んだビルとの一体開発も検討されており、栄の一等地ならではの再開発として注目される。また、来年50周年を迎える地下街「サカエチカ」も大規模リニューアルが始まっており、待ち合わせスポットのクリスタル広場のリニューアルのほか、新たなデザインや演出により、大幅にイメージが変わる。さらに、栄地区の中心である栄交差点(北西角)には、大丸松阪屋百貨店が新たな商業施設を新規出店すると発表しているほか、栄地区の賑わいの中核を担ってきた中日ビルも来年3月末の閉館後、2020年代半ばの完成を目指し再開発が始まる。

 一方、栄地区のオアシスとしての役割を担う久屋大通公園の北エリアとテレビ塔エリアも日本最大のPark-PFI事業によって新たな集客施設や飲食、物販店などを配す賑わい空間として再生されるなど、栄地区の再開発計画が目白押しである。このように栄地区の今後の再開発の動きには大いに注目されるが、今後は、“名駅対栄”の構図ではなく、リニア時代に向けて名駅から納屋橋・伏見を経由した栄までの一体開発として名古屋中心部の面的な活性化につながることにも期待したい。

名古屋市内主要5百貨店売上高

※数値は速報値
注:2013年の名古屋三越はラシック、星ケ丘店含む、2014年はラシック、エムアイプラザ各務原店、星ケ丘店を含む
2015年以降の名古屋三越は、ラシック、エムアイプラザ各務原店、同常滑店、星ケ丘店を含む
出典:各社公表資料より
中日新聞社作成 

名古屋市内主要百貨店売上高

注:名古屋三越 栄店は、ラシック、
エムアイプラザ各務原店、同常滑店を含む
出典:各社公表資料より中日新聞社作成