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ナゴヤ愛

2023.08.31

第15回 愛知のスーパーお母さん、参上!

 社会福祉法人愛知県母子寡婦福祉連合会理事長  兼  愛知母子・父子福祉センター長、というスゴイ肩書を持つ山本廣枝さん。

 愛知県内の「ひとり親家庭」支援のため、日々精力的に活動しています。

▲山本廣枝さんと児童虐待 /DV防止 オレンジ&バイオレットリボンツリー

 廣枝さん自身も40歳で夫を亡くし、二人の子どもを育てた元ひとり親。自身の経験からも、ひとり親家庭が直面する困難を理解し共感します。

 廣枝さんたちの支援活動は多岐にわたります。その軸にあるのは、社会問題ともなっている「ひとり親家庭の貧困」。

 「ひとり親家庭のお母さんたちは、非正規の不安定な職に就いていることが多く、コロナ禍など経営が悪化した際には真っ先に解雇の対象になります。スキルを身につけ、安定した職についてもらうために、職業訓練や就職支援活動を通じて、経済的に自立するための手助けをおこなっています」と廣枝さん。

 連合会には、地域企業や団体などから毎日のように支援の品が届きます。想いのこもった品は箱に詰められ「スマイルBOX」としてひとり親家庭へ。生活が困窮する母子にとっては「笑顔の元」であると同時に、まさに命綱です。

▲たくさんの支援が笑顔になる「スマイルBOX」

 離婚後に養育費などを受け取れずにいる女性のために、法的なアドバイスやサポートにも力を入れています。連合会の顧問である、7人のベテラン女性弁護士はたのもしい味方。法的な権利により適切な支援を受けられるよう尽力します。

 金銭的な支援だけでなく、心のケアも欠かさずおこないます。離別死別を経たひとり親は、精神的に不安定になりがちです。親の不安は子どもに伝わります。廣枝さんは「親御さんの笑顔は子どもにとって何よりの精神安定剤。ひとり親の親御さんが笑顔でいられるように、気持ちに寄り添うことを心がけています」と話します。

 月イチ開催の「金山にぎわいマルシェ」では、ひとり親家庭のフードパントリー&無料相談会をおこない、ひとり親の悩みに熱心に耳を傾けます。

 「ひとり親家庭では、経済的にも時間的にも余裕のないことが多く、子どもの体験できることが限られてしまいます」

 子どもたちに豊かな体験の機会を持ってもらうため、企業などの協力のもと職業体験やスポーツ観戦などの機会を設けています。

 中日ドラゴンズの大野雄大投手は、バンテリンドームナゴヤで開催される試合にひとり親家庭の親子を招待する「大野雄大招待プロジェクト」を実施。2023年で7年目を迎えました。

▲大野雄大投手と共に(提供・中日ドラゴンズ)

 廣枝さんは子どもたちのために、ときには戦隊ヒーローに変身したり一緒に田植えをしたり。

 この取材にあわせてご用意くださった連合会のぶ厚いパワポ資料も廣枝さん自ら作成。

 「一体いつ寝ているんですか?」と聞きたくなるほど、小柄な身体からは想像がつかないパワフルな廣枝さん。

 廣枝さんを「愛知のお母さん」と慕う人は数知れず。

 信念を持って活動する廣枝さんの存在そのものが、ひとり親家庭の希望の光なのです。

▲廣枝さん、文武両道で絵もお上手!