MARKETING MAGAZINE
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INTERVIEW
2020.06.25
幅広い世代の健康への関心に応える
ーー 養命酒といえば、生薬の働きで体の不調を改善してくれる薬酒として知られています。まずは具体的な成分や効能についてご説明ください。
相原 薬用養命酒は、14種類の生薬を配合した滋養強壮剤で、効能としては、肉体疲労や冷え症、胃腸虚弱、食欲不振などの改善が挙げられます。生薬には、「巡らせる」「補う」「温める」の3つの働きがあり、これらの生薬がより効果的に働くよう配合してあるので、血行と代謝を改善することで、体が本来もっている働きを正常に整えていく効能があります。
ーー 養命酒はロングセラー商品として定着していますが、購買層はいかがでしょうか。
相原 薬用養命酒は健康効果が高いため、購買層の中心はやはりシニア世代ということになります。おそらく世間的にも、比較的高齢の方が購買層だというイメージがあると思いますが、今後のターゲットとしては、やはり若い世代も含め、幅広い世代の方々に飲用頂きたいですね。忙しい現代人にとって、健康の維持や体質改善はニーズにマッチしていますし、未病への関心も高まっているので、今後のプロモーションもこうした点は意識したいと考えています。
ーー 先ほど14種類の生薬が配合されているというお話がありましたが、そのなかの「烏樟」の研究に力を入れているとお聞きしました。烏樟とはどのような生薬なのでしょうか。
相原 老舗和菓子店などで出される高級楊枝を「クロモジ」と呼ぶのをご存じの方も多いと思いますが、実は生薬の烏樟は、このクロモジのことです。クロモジは日本の各地で自生していることから和ハーブともいわれ、古くから爽やかな香りがすることは知られていますが、近年の研究で殺菌作用や抗ウイルス作用、胃腸の働きをバランスよく整える効能などが確認されています。当社では、養命酒の配合生薬のひとつとして以前から研究を続けてきた成果を生かし、のど飴やクラフトジンといった新商品を開発したり、クロモジ研究専門の部署を2020年4月に立ち上げたりしています。
ーー のど飴については、2019年12月に15段広告をご出稿いただきましたが、パッケージにも「国産クロモジエキス配合」とうたっていますね。せっかくなので、のど飴とクラフトジンについてもご紹介ください。
相原 クロモジは精油成分の香りが高いことから、養命酒以外にも生かせる商品を開発できるのではないかということで検討してきました。のど飴は、各社で機能性商品が出ていますが、長年の研究成果を基にクロモジエキスを配合していることは当社独自のオリジナリティで、昨年末の広告効果もあり、多くのお問い合わせをいただいています。クラフトジンは、ジン自体がもともとハーブを使ったお酒なので、クロモジを生かしやすいということで開発をスタートしました。クロモジの繊細な香りを最大限に引き出すため、使う水や組み合わせるハーブの選定にこだわり、蒸留方法の試験を繰り返した結果、「香の森」「香の雫」という2つのクラフトジンを生み出すことができました。おかげさまで、世界的な酒類品評会「インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション2019」と米国最大の国際酒類品評会「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2020」で、いずれも銀賞を受賞し、高い評価を受けています。
ーー 先ほど、養命酒製造のど飴の15段広告の話が出ましたが、広告戦略について意識されていることはありますか。
相原 以前は、予算や効果を鑑みて全3段や半5段の広告を定期的に出稿していましたが、最近の傾向としては、プロモーションの効果を営業活動に生かす意味合いと、健康維持に関する意識の高まりから、よりインパクトのある紙面が必要だろうという判断で、ここぞというときに15段での出稿となっています。
ーー たしかに薬用養命酒のえんじ色のインパクトが強いですね。近年ですと、当社が主催する「中日健康フェア」や「ハッピーママフェスタ」など、来場者と接点を持つイベントにご協賛いただいています。このようなイベントに出展されている理由もブランディングの意図があるのでしょうか。
相原 先ほども触れたように、薬用養命酒の購買層はシニアが中心なのですが、より幅広い世代の方に飲用頂くために、消費者と直接お話ができる場として、イベントは貴重な機会だと考えています。健康への関心は世代を問わず高まっていますし、実際に手に取った若い世代の皆さんからも高評価をいただけているので、今後も続けていけたらと思います。
ーー 最後に、新聞に対して思うこと、新聞広告に期待することがあればお聞かせください。
相原 メイン購買層がシニア世代で若い世代のユーザー獲得に苦労しているのは、おそらく新聞社も同じなのではないでしょうか。今後は、紙面だけにとどまらない新たなスキームや企画が求められていくと思いますし、新聞社が生まれ変わることで新聞の読者層も広がり、私どもにとっても広告を出稿する効果が高まると思っています。期待しています。
ーー 貴重な提言をありがとうございます。デジタル化やウェブコンテンツの充実などを推進し、お役に立てるような提案をさせていただきたいと思います。本日はありがとうございました。