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ナゴヤ愛

第2回
ナゴヤ人のココロの地図

2021.06.14

 ナゴヤで人と会う場合、大抵は「栄」と「名駅(名古屋駅)」のどちらかが最初に候補に挙がります。栄はナゴヤ随一の繁華街として、デパートや飲食店が建ち並ぶ、東京でいえば渋谷や新宿のような街。

 一方名古屋駅は、新幹線やJR・名鉄・近鉄・地下鉄などの乗り入れるターミナル駅であり、ナゴヤの玄関口です。しかしツインタワーができた頃から、話題のスポットも人の流れも名古屋駅に集中するようになっていました。

 これはイカン!と危機感を覚えた栄は、その中心にある「久屋大通公園」をテコ入れすることとなり、この夏に大規模な再開発が完了。オシャレな店舗の建ち並ぶ公園には美しい芝生広場が広がります。

 栄のシンボル的存在の名古屋テレビ塔は、観光タワー初の超高級ホテルとなり、ネーミングライツによって「中部電力 MIRAI TOWER(ミライタワー)」として生まれ変わりました。

▲中部電力 MIRAI TOWER と オアシス21

 ナゴヤといえば地下街が発達していることが有名です。中部電力 MIRAI TOWER周辺の地下にも「セントラルパーク地下街」が広がり、どんなに晴れた日にもナゴヤ人は地下に潜っていました。しかし再開発後はタワーの映り込む水盤を中心に、多くの人で賑わっています。

 今回のリニューアルは栄を歩く人の流れを変えたといえるでしょう。

▲ホテルエントランスより公園を臨む

 ところで、東京で道を尋ねると「その角を右に、次の角を左に」という答えが返ってきます。この答えが当たり前のように感じますが、実は「道案内」にも地域性があります。

 大阪では「その筋を右に曲がって、次の筋を左に」と言うそうです。とにかく「筋筋」言う人を見かけたら、それは大阪人と思って間違いないのだそう。では京都はと言えば「その角を下がって」と突然意味不明になります。「地下があると思って探した」人がいることにも納得ですが、「下がる(下ル)」とは「南に行く」ことで、京都人にとっては常識なのだとか。

 ではここナゴヤではどうか?といえば「その角を東に、次の角を北に」というまったく頓珍漢な答えが返ってきます。これもナゴヤ人には常識なのですが、よその人には「わけがわからない」ことの一つです。初めて行った土地でいきなり「東だ、北だ」といわれても「右と左のどっちだよ!」と怒りたくなるのも無理はありませんよね。

▲永遠にわかり合えない壁がそこに

 これは、ナゴヤ人のココロの中には地図があり、その中心にすっくと立つ旧テレビ塔(中部電力 MIRAI TOWER)を中心として東西南北が感覚的に身についているから。戦後焼け野原となり、まるで碁盤の目のように整備された市街地であるため、東西南北がわかりやすいことも無関係ではないでしょう。

 この名古屋テレビ塔、実は日本で最初の電波塔で東京タワーより歴史があります。50年以上の長い間、電波塔としての役目を担ってきた名古屋テレビ塔は、2011年7月アナログ放送終了でその役目を終えました。

 しかしその後も人気は衰えることはなく、栄のシンボルとして、ナゴヤ人のココロのよりどころとしての地位を守り続けています。

▲ライトアップされた姿が水盤に映る

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