MARKETING MAGAZINE

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INTERVIEW

2023.12.26

「THE MUTUAL」をコンセプトに次代の相互扶助を発信

――2023年11月22日に創立100周年を迎えられたとのことでおめでとうございます。ご出稿いただいたメッセージ広告には、貴社のロゴとともに「THE MUTUAL」という言葉が掲載されていますが、この言葉にはどのような思いが込められているのでしょうか

森田 ありがとうございます。「MUTUAL」はあまり聞きなれないかもしれませんが、相互扶助や相互会社の「相互」を意味する言葉です。生命保険会社には、相互会社と株式会社の2つがあり、当社は相互会社です。相互会社は、相互扶助の仕組みによって成り立つ公共性の高い保険事業を営む保険会社だけに認められている会社形態。現在、生命保険会社は42社あり、そのうち相互会社は5社ですが、その中で創業から一貫して相互会社形態を堅持している会社は当社のみ。「ご契約者本位」という創業時の想いを実践していくためには、ご契約者が保険団体を構成しお互いに助け合う相互組織が最適であると考えています。

当社は相互会社にこだわっていますが、2018年からスタートした100周年プロジェクトでは、創業以来の想いや信念、行動を表した「THE MUTUAL」をコンセプトに掲げ、活動を展開してきました。「THE MUTUAL」とは、共感・つながり・支えあいをベースとした、次の100年に向け進化する次代の相互扶助のこと。当社に関わる人たちのつながりを深め支えあい、真の相互扶助を体現する組織を目指す決意を表しています。

東京新聞 2023年10月26日朝刊
虹の絵は、岩手県の支援学校に通う小学5年生が描いた「THE MUTUAL Art for children」の作品。フコク生命のロゴ部分には「THE MUTUAL」の文字が添えられている。

――広告のメインビジュアルに採用されている絵も印象的です。特別支援学校に通う小学生が描かれたとのクレジットが添えられていますが、採用された経緯はどのようなものだったのでしょうか。

森田 当社では、子どもたちのアート制作を応援する活動として、2012年度から「すまいる・ぎゃらりー」という展示企画を実施しています。当社の内幸町本社ビル内にあるショッピングエリアで展示を行っていますが、素敵な作品が多く、もっと多くの人に見ていただきたいという想いから広告に採用しました。

また、100周年プロジェクトの一環として、アートを通して子どもたちと社会がつながるお手伝いをさせていただく「THE MUTUAL Art for children」という活動も2021年度から行っています。これは、廃棄野菜を原材料に使った「おやさいクレヨン」を全国の幼稚園や保育園に寄贈するというもの。おかげさまで、これまでに10万個以上を寄贈させていただきましたが、このパッケージにも「すまいる・ぎゃらりー」の作品を使用しています。

東京新聞 2023年11月22日朝刊 創立に合わせて掲載された広告。

――100周年という大イベントに向けてさまざまな準備をされたと思います。社外への発信はどのようなことに取り組まれましたか。

森田 100周年プロジェクトでは、①フコク生命の価値を広くアピールし、存在感を高めたい、②共感の輪を大きく広げていきたい、③ワクワクする夢のあることをしたい、の3つを掲げ取り組んできました。特に①と②を実現するためには、対外的な発信は欠かせません。

100周年プロジェクトの取組みを発信する特設WEBサイト「ザ・ミューチュアル 100」を開設したほか、YouTubeチャンネル「THE MUTUAL SQUARE」を通じた動画配信も積極的に行いました。おかげさまで、WEBサイトの訪問者は150万人以上、動画の再生数は570万回以上と多くの方々に当社の取組みや想いを伝えられたのではと思っています。

また、全62支社で展開した「おやさいクレヨン」は、各地の新聞など各種メディアで取り上げていただきました。他にも、これは他の新聞社さん主催のイベントになりますが、社歌コンテストに4年連続で応募しました。社歌日本一になったのもよい思い出です(笑)。

「おやさいクレヨン」を手にする森田さん。社員が思いを書き込む富国生命本社ビルのバックヤードの壁には、THE MUTUALアンバサダーを務める齊藤工さんのサインも。

――実は東京新聞も来年が140周年なのですが、インナーブランディングには困難さを感じています。貴社の場合、社内的にはどのような取り組みをされていますか。

森田 インナーブランディングの肝は、「自分ごと」だと思います。全社プロジェクト的な活動は、ややもすると本社の企画部門など一部の人たちがやるものとなってしまいがち。ですから、そうならないよう心掛けてきました。100周年プロジェクトでは、推進エンジンとしてNEXT100という名称の分科会が12テーマ立ち上がりましたが、メンバーは公募制。ありがたいことに、支社・営業所からの参加者が本社を大きく上回りました。

また、こうしたプロジェクトで多いのが、何をやっているのかよく分からないということ。ですから、分科会の活動や支社の取組みなどをイントラネットで紹介する「THE MUTUAL新聞」を作りました。スポーツ新聞の一面のようなビジュアル重視の紙面とし、現在600号まで発行しています。

11月22日の100周年に向けては、営業所、支社、本社や関連会社の各部門700拠点が写真と想いを、毎日リレー形式でEメールで共有する「THE MUTUALカウントダウン」を実施するなど、一体感の醸成に努めました。あと、先ほどお話しした社歌コンテストでは、ミュージックビデオを制作するのですが、昨年は700名以上の職員が参加してくれました。クールビズ期間中は、胸に「THE MUTUAL」のロゴが入った「THE MUTUALポロシャツ」の着用をOKにするなど、「THE MUTUAL」や100周年プロジェクトを日常的に感じていただき、「自分ごと」になってもらえれば、そういう想いで取り組んできました。

「総選挙」と題した「いいね!」投票を半年ごとにEラーニングで実施しているのですが、当初6割程度だった「いいね!」は8割近くまで上昇しています。

――10月に開催された東京新聞・東京中日スポーツ主催のグリーンリボンランニングフェスティバルでは、2022年に引き続き特別協賛をいただきました。当フェスティバルは、臓器移植を受けた方や障がいのある方と一般の方が走る喜びを分かち合うイベントですが、どのような思いでご協力いただいたのでしょうか。

森田 最初にこのお話をうかがったとき、「THE MUTUAL」な取組みで素晴らしいイベントだと思いました。当社は2002年に移植医療を保障する日本初の「移植医療特約」を発売し、多くのお客さまにご利用いただいています。ですから、是非ご協力させていただきたいと心底思いました。

協賛させていただくだけではなく、支社や部署ごとにチームを組んで、リレーマラソンにも参加しています。「フコク生命」と社名の入ったゼッケンで走ると、爽快感も倍増。もちろん、そのあとのビールも最高(笑)。苦楽を共にし襷をつなぐリレーマラソンは、一体感の醸成やチームビルディングにもなり、ありがたいイベントです。取引先の方にも楽しみにしていただいており、ずっと続けていきたいと思っています。

10月9日に開催されたグリーンリボンランニングフェスティバル。5キロラン、10キロラン、42.195キロのリレー、ハーフマラソン、ファミリーラン、タウントレックの6種目が行われた。

――最後に、新聞に期待する役割があればお聞かせください。

森田 事実をその背景も含め的確に報道することに加え、これからの時代は「I」や「We」を起点としたメッセージを発信することも重要だと感じています。当社における「THE MUTUAL」の発信も、こうした視点に立ったものです。東京新聞さんはしっかり意見を主張されている印象がありますので、是非その姿勢を続けていただければと思います。

特別協賛させていただいているグリーンリボンランニングフェスティバルは、今後も継続していきたいと考えています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

――こちらこそよろしくお願いします。本日はありがとうございました。