MARKETING MAGAZINE
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INTERVIEW
2020.10.28
創立101年を超えて抱き続ける「ものづくり魂」
ーー 事業所別にポケモンのキャラクターを使って非常に多層的な展開の広告をご出稿、計画された経緯についてご説明いただけますか。
柴田 弊社は2019年に100周年を迎え、その3年前に日本ガイシの「ものづくり魂」の化身としてキャラクター「クロコくん」を登場させました。この「クロコくん」がジャンプアップすることを助ける存在を探していた中でポケモンさんとご縁を持てたことが始まりです。ご存知のようにピカチュウは電気を生成します。我々も祖業が電気を支えるガイシです。他のポケモンも我々の事業が貢献する分野との親和性が高く、描きたい世界観が一致し、100周年記念コンテンツとしてコラボレーションが実現しました。100年間培ってきたセラミック技術が、美しい自然環境に住むポケモンの共存を実現しているというストーリーで、サスティナブルな世界観を描いたのです.
ーー しかも版別のポケモンとのコラボレーションでした。
柴田 地域の方々に親しみを持っていただくとともに、社員自身が誇りを抱ける内容を意識しました。例えば西三河版では、エレクトロニクス製品を多く扱う知多事業所のエリアなので、(マニアに人気のある)「コイル」というポケモンをメインに配置するなど、エリア別に5パターンで展開しました。
ーー 今回の広告紙面は非常にカラフルで「こどもの日」にぴったりという印象でした。なおかつ100周年ともクロスし、近くにある事業所が何を作っているのかがよく伝わってくる内容でした。従業員の皆さまには、こういう広告が出ると事前にアナウンスされていたのですか。
柴田 まさに5月5日が創立記念日、100周年当日。社員には連休前に意図を含め予告しました。家族や友人達に誇らし気に説明してもらいたいですからね。これに先だって1月の記念セレモニーで初めてポケモンとのコラボを発表しました。この時までは、撮影に協力してもらった社員にすら秘密にしていました。
ーー 社内はもちろん、お取り引き先を含めた関係者の方々の反響も大きかったと思います。
柴田 実はポケモンを使うこと自体に抵抗がある役員もいました。しかし実際使ってみると、こういう表現の方法もあるのかと好意的な意見に変わりましたね。世界中の幅広い世代に人気のポケモンの訴求力はさすがに強力で、日本ではもちろん、海外拠点の社員も大変喜んでいました。また、狙い通りポケモンファンにより、地域で別のキャラクターが出ていると話題になり、SNSで拡散されました。中日新聞さんからツイッターで発信していただけたこともありがたかったです。
ーー 中日新聞広告賞の審査員特別賞の受賞についても、地域での切り替えという新聞の特性を活用いただけていますし、なおかつキャラクターと各地域の事業所で生産される製品との親和性が受賞理由となりました。
柴田 名古屋は100年間お世話になっている本社拠点であり、近郊に事業所やグループが複数あります。中日新聞エリア版の特性を活用し、事業所や工場で生産するものにクローズアップするチャンスとなりました。
ーー ここまで地域と製品、そしてキャラクターと親和性のある広告はなかなかないと思います。さらに、ポケモンというキャラクターには「自然環境を大切にする」という御社の事業領域に共通した世界があります。101年目以降も御社の方針には変わりはないのでしょうか。
柴田 我々の会社は、もともと社会の課題を解決しようと始まった会社ですし、社会に貢献していくことで続いてきた会社です。電力をはじめ社会のインフラを支えていくこと、そして環境を良くする製品を生み出していくことでサスティナブルに続けてこられました。ですので、基本的には変えない、むしろこれからも大事にしていきたいと思っています。
ーー 「Surprising Ceramics.(サプライジング セラミックス)」というコピーも印象的でした。
柴田 社員の活動のネーミングにも引用されるなど、社内の反響が大きかったです。日本とグローバルでは呼称が異なる当社としては、NGK(英語名:NGK INSULATORS)とクロコくんをアイコンに、「Surprising Ceramics.」をスローガンに企業イメージを束ねていきたいと考えています。100周年を機会に一体感を持とうという点ではアイコン的に良かったですね。
ーー 101年目に向け、新しい伝え方、コミュニケーションのとり方はどのような形で進められていますか。
柴田 101年目である今年はクロコくんファンづくりの元年です。今年5月5日にはクロコくん公式ツイッターを開始しました。「おうちにあるものでできる科学実験」紹介やクイズなどバリエーションを増やしながら発信しています。9月6日が「クロコくんの日」に認定されたことを記念してLINEスタンプを配信するなど、若年層の利用が多いSNSの運用でファンを地道に獲得していく考えです。発信する内容のコンセプトは「100年前から、SDGs発想。」。祖業の「がいし」は電力を安全に送り届けるために欠かせないセラミックスです。自社の利益のためではなく社会のために生産を始めた事業が世界の電力インフラを支え、排ガス浄化でモータリゼーションの発展に貢献し、いまやIoTに欠かせないものを提供する。まさに国連が提唱するSDGsの目標と課題に、100年前から社業として取り組んでいます。社内外ともに、つねに時代が求め、世界が抱える課題に応え続けている企業姿勢を発信していきます。
ーー 最後になりますが、新聞について感じていらっしゃることを一言いただけますか。
柴田 新聞はパッと見ただけでニュースの強弱がわかりますし、情報の信頼性が高く、流し読みもじっくり読むこともできる、この両面が強みだと思います。また地域に根ざした面も持ち合わせていますので、今回のように地域の方々に見ていただいて、社員と家族が喜んでくれたことが非常にありがたかったです。そんな役目を担う新聞でい続けていただきたいと思っています。
ーー 本日はありがとうございました。