MARKETING MAGAZINE

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INTERVIEW

2020.08.28

日々のくらしを、新しい日常を地域の皆さまと一緒に守りたい

ーー 2020年6月5日付の弊紙に、「日々のくらしを、新しい日常を、地域の皆さまと一緒に守りたい」という全面広告をご出稿いただきました。この広告を出稿されたきっかけをお聞かせください。
雨皿 新型コロナウイルスを契機に、社会全体で働き方やライフスタイルが大きく変わりました。私ども小売業でも感染症拡大防止対策や新しい営業スタイル、さらにはライフラインとして営業を継続することの意義など、改めて企業としての姿勢をメッセージとしてお伝えしたいと考え、広告を出稿することにしました。
ーー 内容としては、「イオンの約束」「お客さまへのお願い」という2つのメッセージが柱となっています。また、「地域」や「従業員」といった点にも触れられていました。こういう内容になった経緯を教えてください。
雨皿 イオンでは、新型コロナウイルスが中国・武漢で脅威として認識し始めた1月には対策本部を立ち上げ、2月からは感染症防止対策についても発信しました。その後、日本国内でも感染が拡大し店舗の営業も困難になる中、改めて「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」というイオンの基本理念をお伝えする必要があると考えました。今回のメッセージは新型コロナウイルスと向き合いながら、お客さまや従業員も含め、地域全体で新しい日常をつくり上げていくという想いを込めています。お客さまからも多くの励ましのお声を頂くなど、私どもの想いが伝わっていると感じました。

全面広告の柱のひとつである「イオンの約束」に明記されているように、売り場をはじめ店内の消毒を徹底。

新型コロナウイルス対策は海外店舗でも実施。写真は、中国・武漢市で外出制限時に行った宅配サービスの様子。

感染防止の一環として推進しているキャッシュレス決済。これまでも取り組んできたため、お客様の認知度も高く、一気にキャッシュレス化が加速しているという。

ーー 今回、弊紙も含めて地方紙への広告出稿をされたというのも、地域へのメッセージを重視されたからでしょうか。
雨皿 そうです。全国紙だけではなく、より地域に伝わりやすいのは、エリアに密着している地元紙だと思いますし、非常事態宣言の解除時期など、地域によって状況が違うので、想いをより丁寧に伝えるために、地元紙での広告出稿という形をとりました。

中日新聞2020年6月5日朝刊 「イオンの約束」「お客さまへのお願い」という2つの柱のほか、非常時に営業継続に励む従業員を称える内容も盛り込まれている。

ーー 弊紙がそのような形で役立っているのは嬉しい限りです。新しい生活様式といわれるなか、貴社の具体的な取り組みについていくつか教えていただけますか。
雨皿 例えば、買い物の手段についても直接お金に触れないキャッシュレスやお客さまと従業員の接触を避けるセルフレジなど、さまざま取り組みを行っています。従業員のマスク着用やレジでのアクリル板の設置など、安全を確保しながら営業を続けるにはどうすればいいかを専門家の意見なども取り入れつつ改善を重ねています。そのノウハウは、他企業様にも参考にしていただけるよう、「イオン防疫プロトコル」をウェブサイトでオープンにしています。また、ネットスーパーやドライブスルーでの店舗受け取り、移動販売など、通常の店舗販売にこだわらない柔軟な営業スタイルも提供しています。

ネットスーパーでの通販やドライブスルーでの受け取りなど、一般的な店舗の営業スタイルにこだわらない柔軟な対応。

ーー 近年の日本は地震や豪雨といった自然災害も増えています。先ほどのお話にあったライフラインとしての役割や地域としての取り組みといった観点で、貴社の考えをお聞かせください。
雨皿 常に地域のなかで頼られる存在であり続けたいということです。2019年は台風15号の被害の影響による長期間の停電、19号では公共交通機関の計画運休により電車が止まるなど、不安を感じたという声を多く聞きました。新型コロナウイルス関連では、一時期、トイレットペーパーが不足するという噂がありましたが、イオンでは十分な量の在庫を保有していたので、お客さまに安心していただけるよう、大量陳列の売り場をつくったり、物流倉庫の状態をメディアに公開しました。これらを通じて改めて実感したのは、通常通り店が開いていて、普段通りに買い物ができることが安心につながり、地域への支援になるということです。非常時にどんな支援ができるかというノウハウも蓄積されてきているので、今後も地域貢献に生かしていければと思います。
ーー 貴社のイメージとして、印象が強いのが環境への取り組みです。植樹活動に力を入れているほか、レジ袋有料化も今年7月の法制化に先駆けていち早く導入されていました。
雨皿 植樹活動は、新店オープンの際などに実施していますが、環境だけでなく、植樹を通じて地域への愛着を深めてほしいという意図もあり、街づくりの一環にもなっていると自負しています。レジ袋については、30年ほど前の1991年からエコバッグ持参運動をスタートし、時間をかけてお客さまに認知していただいたという経緯があり、すでに4月から有料化を実施しています。また、ジミー大西さん描き下ろしのコラボマイバッグも好評です。環境にいいことであっても、一方的にお客さまに押し付けるのではなく、一緒に築いていくという点を今後も重視していきたいですね。

お客さまの不安を解消するため、トイレットペーパー売り場を拡大して在庫が十分あることを情報発信。写真は、イオンモール幕張新都心。

ーー 新型コロナウイルスの対策、自然災害への対応、さらに環境への取り組みなど、地域を強く意識しながらさまざまな取り組みを実施されていることがよくわかりました。最後に、新聞社に対するご要望などありましたらお聞かせください。
雨皿 今回の広告出稿を通して、地域と結びつきの強い貴社のような新聞の存在がとても重要なのだと再認識しました。イオンとしても、経営戦略としてエリアシフトを進めていますし、各地域での営業情報などもしっかり報道していただきました。今後も地域に密着した情報発信という点で協力していけたらと思います。
ーー 貴重なお話をありがとうございました。我々も新しい生活様式の中で、地域の活性化などに貢献できるような情報発信をしていきたいと思います。

イオン感染症拡大防止の取り組み「イオン防疫プロトコル」