MARKETING MAGAZINE
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INTERVIEW
2019.04.19
地域に根ざしたサービスで課題解決を
ー 15段4ページの広告は大きな話題を呼びました。今回、新聞広告の活用に至った経緯を教えてください。
酒井 昨年1月にトヨタ自動車の国内営業体制が地域ごとの地域営業部体制に変わりました。それまではトヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツのチャネル(系列)ごとに区切られていたものが、県単位で4つのチャネルを担当するようになりました。理由は二つあります。モビリティサービスカンパニーへ変わるには地域に根ざした取り組みが必要です。地域を一番知っていらっしゃるのは販売店さんですので地域全体の課題、その中でもクルマとの関わり方に関する課題について販売店さんと共に取り組んでいこうというのが一点。もうひとつは地域に合わせた販売施策をタイムリーに打っていくことが、これからは求められるだろうということ。地域を考えていくことが必要だということですね。媒体として中日新聞を選んだのは、愛知県で圧倒的なカバー率があることが理由です。
ー 15段4ページ・全60段でこのクリエイティブとなるとかなり思い切った決断が必要だったのではないでしょうか。
酒井 どちらかというと販売店さんの希望が大きかったですね。トヨタ自動車は将来的に4チャネル併売化する方針ですが、足下におけるそれぞれのチャネル基軸車種の増販を狙いました。一発で打ったほうがインパクトもあり、新たな挑戦の意味もあります。また愛知県にある販売店12社を表現した「AICHIオールスターズ」はアイコンとしてこれからも継続的に使っていきたいと思っています。
ー お客さまや販売店さまからの反響・評価についてお聞かせください。
酒井 販売店さんからの評判がすごくいいです。販売店さんによっては新聞を商談スペースに置いて、話のきっかけにしていただいています。新聞を見てお客さまがいらっしゃったケースもあったと聞いています。毎週シリーズでやっていたとしたら、ここまでの反応は無かったのかもしれません。それだけ目立っていました。これだけやってもらって我々も頑張ろうというインナー効果もありました。ポスターにしてオフィス内で貼っているのですが、愛知県ではこういうことをやっているとアピールにもなる。他県の担当員も知ることで刺激になっています。
ー 愛知の地域特性や販売情勢についてお聞かせください。
酒井 競争は販売店間でも非常に激しい。それだけに今回初めて12社が一緒に出稿できたのは大変大きな意義がありました。愛知県の12社はAICHI脱ワーストキャンペーンもやっています。また、みんなのメダルプロジェクトも全国で愛知県が一番集まっています。トヨタ自動車としてやっていきたいことに関して非常に前向きにやってくださっている販売店さんが多い。競争は激しいですが、競争と協調のバランスがいい地域だとも言えます。
また、販売情勢に関しては、販売台数は愛知県がダントツに1位ですし、販売店数も12社と全国一。全国で約1割を愛知県だけで販売しています。そのため、影響力は非常に大きいですし、販売店さんにも日々、いろいろな努力をしていただいています。
ー 「100年に一度の大変革期」と自動車業界は言われていますが、日々現場をご覧になって、これからの「クルマと人との関係」について感じておられることはありますか。
酒井 トヨタ自動車の課題の一つは、若い方との接点がなかなかつかめずにいることです。トヨタ自動車の定額制サービス「KINTO」やシェアリングなどを通して、これまでクルマに触れていなかった人にもいろいろな使い方をしていただきたい。過疎地域におけるクルマとの関わり方も一緒に考えていかなければならない時期だと思います。実際に販売店さんの中には、地域の祭りにおいて、会場までの送迎サービスを行政と連携して行っている販売店さんもいらっしゃいます。そういった新たなクルマとの関わり方を考えていかなくてはいけないと思っています。
ー 中日新聞も地域密着が生命線です。扱う商品はクルマと新聞で違いますが、地域との接点は大事ですね。
酒井 これからは地域の生活に根ざしたサービスを考えていかないと。クルマを売るだけではなく販売店のあり方が変わっていくのではないかと思います。
ー 今後のキャンペーン展開や施策についてお聞かせください。
酒井 10月には消費税増税が控えています。メーカーとしてクルマを買いやすい施策を考えていかなくてはなりません。もう一つは地域に根ざした販売店になっていかなくてはならないということです。実際、販売店さんが地域のために今もやってくださっていることを、いろいろなお客さまに伝えていくことも私の役割です。「AICHIオールスターズ」は頑張っている、と地域に伝え、ファンづくりのきっかけになるようなことをやっていきたい。地域に根ざし、地域で一番いいお店だとお客さまに思っていただくことが大事だと思います。
ー 新聞広告のみならず、ドラゴンズを含めた中日新聞の資産を使っていただき、御社の課題解決に貢献したいと思っています。2月1日に掲載した小笠原慎之介投手のインタビュー記事の反響はいかがでしたか。
酒井 小笠原投手にクルマの魅力を語っていただき、若い世代へ良いアピールになりました。中日新聞さんは地域に根ざした媒体なので、本当にやりやすい。こういった企画もリーチが高く、費用対効果も大きいと考えています。
ー 今後の新聞広告へのご要望をお聞かせください。
酒井 地域での取り組みの中で一緒に行えるものがあればお願いしたい。特に10月以降、クルマの需要への雰囲気づくりにご協力いただきたいと思います。こちらも教えていただきたいことがいっぱいあります。今後ともよろしくお願いいたします。
ー 本日はありがとうございました。