2024年1月から始まる新NISA制度。話題には上がるけど詳しいことは知らない、何から始めたらよいのかわからないといった方も多いはず。そこで、新NISAについて基礎から学ぶことで将来のライフプランも考えるヒントになるようにと、「新NISA全国セミナー in 名古屋」が11月11日に開催されました。一般社団法人 投資信託協会の主催ということで、金融商品や金融機関にとらわれずに学ぶことができると好評だった同セミナーのパネルディスカッションの内容を特別にご紹介します。 提供:一般社団法人 投資信託協会
パネルディスカッション
新NISA
みんなの疑問にお答えします!
コーディネーター
1級ファイナンシャルプランニング
技能士/CFP®認定者
風呂内 亜矢氏
パネリスト
三井住友DSアセットマネジメント
名古屋支店シニアマネージャー
野々村 大治氏
日本ビルファンドマネジメント株式会社
取締役投資本部長
首藤 英樹氏
三菱UFJ銀行
アセットコンサルティング部
(名古屋)次長
江口 紗苗氏
フリーアナウンサー/
元日本テレビアナウンサー
青木 源太氏
新しいNISAでますます注目の
「投資信託」とは?
青木さん
2006年に日本テレビに入社して社会人になり、その2年後の2008年から投資を始めました。社会人になったばかりの頃は、投資は生活に余裕が出てから余剰資金で行うべきものだと考えていましたが、今は少額でも良いから、積み立て式の投資を1日でも早く始めましょうと若い人たちに向けて話しています。
風呂内さん
確かに今は100円、1000円単位で投資を行うこともできるので、少額からでもすぐに始めてコツコツと貯めていくことも大切かもしれませんね。
江口さんにお伺いしたいのですが、初心者の方にお勧めの投資方法はなんでしょうか?
江口さん
初心者の方向けでリスクが低い投資のやり方というところでは、投資を長期で考えて、買っていく時期と購入する商品、この二つの要素を分散していくという「分散投資」を原則とすることが重要です。
「分散」を実現させるためのコツ
リスク(振れ幅)が高い |
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国内 |
先進国 |
新興国 |
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債券 |
国内債券 |
先進国債券 |
新興国債券 |
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株式 |
国内株式 |
先進国株式 |
新興国株式 |
|
リスク(振れ幅)が高い |
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風呂内さん
野々村さん、新しいNISAで投資できる商品にはどんなものがあるかを教えていただけますか。
野々村さん
NISAで投資できる商品は多様にあります。上場株式、ETF(上場投資信託)、REIT、一般的に「投資信託」と呼ばれている「公募投資信託」、これらがNISAで投資できる商品です。この中でも、これから資産形成を始めようという方々に一番適していると思われるのが「投資信託」です。
投資信託は、投資家の皆さんからお預かりした資金を、専門家が株式や債券などに分散して投資する運用商品です。
投資信託の大きな特徴は三つ、「少額から投資ができる」「様々な投資先に分散投資ができる」「高度な知識を持つ専門家が運用を行う」ことです。特に、投資先を決めることなどは初心者にとって難しく、勇気もいることですので、投資信託は今から資産形成を始めたい方にはうってつけの投資商品だと言えます。
投資額の目安
既にもっている資金
300万円貯蓄がある人は、
15〜30万円程度からスタート
毎月の貯蓄
毎月5万円貯蓄している人は、
2,500〜5,000円程度からスタート
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青木さん
株式投資の場合、各企業の商品情報やリリース、決算などのチェックは難しいし時間もかかります。その辺りを専門家が代わりにやってくれる投資信託は、簡単で安心な非常に取り組みやすい投資だと言えますね。
風呂内さん
首藤さん、今回新しいNISAに「成長投資枠」という枠が生まれるのですが、そこでできる「REIT(リート)」について、どんな仕組みなのか教えていただきますか?
首藤さん
REITとは「Real Estate Investment Trust(リアル・エステイト・インベストメント・トラスト)」の略で、日本語にすると「不動産投資信託」という商品です。実際にマンションなどを購入する不動産投資では、購入するために多額の資金が必要だったり、テナントや借主が抜けてしまうとか、地震などの災害で建物が破損するなどのリスクがあります。REITでは、沢山の投資家の皆様から資金を集めて、いろんな場所に様々な種類の不動産を分散して購入するので、相対的に低いリスクで不動産投資をすることができます。金融商品の中では値動きが安定していて、ミドルリスク・ミドルリターンという位置付けになっていますが、商品によって配当が3〜5%程度あり、利回りが高いということも魅力だと考えています。
風呂内さん
個人で不動産に投資しようとするとなかなか難しいですが、REITなら少額でも不動産投資ができるということですね。
もし銀行や証券会社が倒産などした場合、預貯金だと1000万円までは資産が守られるという話は皆さん聞いたことがあると思いますが、投資信託はどうなのか江口さんに聞いてみましょう。
江口さん
万が一、銀行や証券会社が倒産した場合でも、購入された投資信託の資産は、販売した銀行や証券会社が管理しているのではなく、信託銀行で「信託財産」として、銀行の通常資産とは別に管理をしなくてはならないということが義務付けられているので、皆さんの投資信託はしっかりと守られます。
青木源太さんの
「投資信託活用法」
風呂内さん
青木さん、「投資をしていて良かった」と思ったエピソードはありますか?
青木さん
少額であっても自分の資金を市場に投入したら、それがどうなっているのかは誰もが気になるものです。お金は経済活動にとっての血液だと言われていますが、自分のお金が経済の血液としてどのように流れているのか、その流れを見ているとなんとなく全体が掴めるようになってきたり、経済ニュースが理解できるようになってきたりします。政治のニュースでも、それが経済にどのような影響を与えるのかが理解できたり。つまり、多少なりとも経済という切り口からも世界を見ることができるようになったということです。これは投資を始めたことで自分が大きく変わったことだと思いました。
風呂内さん
青木さんは米国への投資に比重を大きくしていらっしゃるのが気になりました。それはどうしてなのでしょうか?
青木さん
私自身が外国でお金を稼ぐことはできないのですが、外国に投資をすれば、自分の金融資産に海外で働いてもらうことができると思ったのがきっかけです。これは、私自身が日本で働くことと、海外で金融資産が働くことで「分散」という作戦にもなっていると思っています。また、日本円は対ドルや対金でもどんどん価値が下がり、さらに物価も上がっています。外国への投資を過度に恐れる必要がないという考えに繋がるのが今の社会の状況であると思います。
風呂内さん
「金融商品だけでなく自分の働き方との分散」や、「資産の価値を担保できている実感」というところに強く意味合いを感じていらっしゃるのですね。
新NISA「つみたて投資枠」
「成長投資枠」とは?
風呂内さん
野々村さん、新しいNISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。どちらも投資信託が買えるそうですが、買える投資信託に違いはあるのでしょうか?
野々村さん
「つみたて投資枠」の投資対象商品は、証券取引所に上場しているETF、公募投資信託のうち、長期の積立分散投資に適した「一定の商品性を有するもの」に限定されています。
これまでのNISAってどんな制度?
つみたてNISA |
どちらか |
一般NISA |
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---|---|---|---|---|
年間非課税枠 |
40万円 |
120万円 |
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非課税保有期間 |
20年間 |
5年間 |
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非課税保有限度額 |
800万円 |
600万円 |
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口座開設期間 |
2023年まで ※2042年までの予定だった |
2023年まで ※2階建てに変更され2028年までの予定だった |
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投資対象 |
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
上場株式・投資信託など |
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対象年齢 |
18歳以上 |
18歳以上 |
新しいNISAってどんな制度?
つみたて投資枠 |
併用可能 |
成長投資枠 |
||
---|---|---|---|---|
年間非課税枠 |
120万円 |
240万円 |
||
非課税保有期間 |
無期限 |
無期限 |
||
非課税保有限度額 |
1800万円 |
|||
|
内 1200万円 |
|||
口座開設期間 |
恒久化 |
恒久化 |
||
投資対象 |
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
上場株式・投資信託など ※一定の投資信託を除外 |
||
対象年齢 |
18歳以上 |
18歳以上 |
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青木さん
これは、金融庁がつみたて投資に適したものに条件を定めているということですよね?
野々村さん
その通りです。約6000本ある日本の公募投資信託の中から金融庁の条件を満たした商品に絞り込まれているので安心感があり、投資初心者を含め幅広い年齢の方が利用しやすい商品だと思います。
「成長投資枠」の対象商品は、上場株式以外ですとETF、公募投資信託、REITというところですが、 毎月分配型の投資信託やデリバティブを使った高リスクな投資信託など一部商品を除いて「つみたて投資枠」の対象商品以外にも非課税で投資することができます。また、非課税保有期間が無期限となるので、長期的に投資できる商品を選びやすくなったのも大きく変わったことです。
性格が違う商品を持てているか意識する
バランス型投資信託(例)
国内 |
先進国 |
新興国 |
|
---|---|---|---|
債券 |
国内債券 |
先進国債券 |
新興国債券 |
株式 |
国内株式 |
先進国株式 |
新興国株式 |
全世界株式型投資信託(例)
国内 |
先進国 |
新興国 |
|
---|---|---|---|
債券 |
国内債券 |
先進国債券 |
新興国債券 |
株式 |
国内株式 |
先進国株式 |
新興国株式 |
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風呂内さん
江口さん、年代別に運用の方針など違ってくると思いますが、20代・30代の若い方だとどのような運用をされるのが良いと思いますか?
江口さん
働き始めたばかりの20代の方たちは、これからの長い人生の時間を味方につけて「長期」「積立」「分散」ということがより向いているということになります。新NISAには、これまでつみたてNISAにあった非課税保有期間20年という縛りがないので、毎月のお給料の中からコツコツと「つみたて投資枠」に投資信託などで積み立てていくのが良いと思います。30代になってくると人生に様々なイベントがあり、ライフプランも変わってきます。余剰資金も貯まってきている頃だと思いますので、もう一つの「成長投資枠」の方でアクティブな投資にも挑戦していただくのが良いと思います。
風呂内さん
それでは野々村さん、50代前後の働き盛りの世代にはどのような運用がおすすめでしょう?
野々村さん
老後のセカンドライフを意識し始めるこの時期は、この先何十年も使った長期投資ができるわけではありませんので、新NISAの「非課税投資枠の拡大」「非課税保有期間の無期限化」を最大限に使って運用していくことが重要です。特に、どういった商品を「成長投資枠」で運用するのか、皆さんが取れるリスクに応じた商品はどれなのかを、お近くの金融機関に相談してみると良いのではないでしょうか。
風呂内さん
60代以降、リタイアメント世代の運用はどのようにされるのが良いと思われますか?首藤さん。
首藤さん
退職後は資産を増やしていくことも大事ですが、その一方で、これまで受け取っていた給与に代わる、生活資金となる金融所得を作ることが重要です。そんな時こそNISAを活用して、REITのような安定した配当金が受け取れる商品を運用していくことが得策かと思います。
風呂内さん
なるほど。どの世代にもそれぞれに見合った投資信託があるということですね。
本日の貴重な時間が皆さんの直接の利益につながるように、資産のどの部分を投資に当てるのかや、実際にどの金融機関を使ってNISAを始めるかなど、是非とも具体的にご検討を進めてみてください。どうもありがとうございました。
風呂内さん
様々な専門分野の立場の皆さんから、これから初めて投資をされる方々に向けて、役に立つ話をお聞きすることができたらいいなと思います。青木さんの投資を始めるきっかけと、現在行っている投資の内容について教えていただけますか。