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東海エリア2021年プロジェクト動向———————————注目のリゾート「VISON」とスポーツイベント

2021.02.18

【三重県に大型複合リゾート施設「VISON」誕生】

 ウィズコロナ時代の旅行スタイルのひとつとして注目を集めるのがドライブ観光で、混雑した観光地を避け、自然に癒され、のんびりと過ごすスタイルの観光である。東海エリアは自動車の保有率が高く、ドライブ観光が元来主流であったが、このコロナ禍においてはさらにその傾向が強まっている。コロナ禍は予期せぬ事態ではあったが、当面はそんなニーズに十分応えられる施設が人気を呼ぶであろう。
 今春、自然豊かな三重県多気町に大型複合リゾート施設「VISON(ヴィソン)」が誕生する。今の旅行客のニーズの高い「食」と「癒し」をテーマに、宿泊・飲食・温浴・体験・産直市場・薬草園・農場などが集結する。立地は伊勢自動車道・勢和多気JCT近くで、敷地面積約115haのうち開発面積は約53haと多くの自然を残し、森の中にある滞在型複合リゾートとなる。四季を感じる宿泊施設のほか、日本の伝統的な料理道具をはじめ、和食の食材メーカーによる体験型店舗、様々な薬湯を提供する温浴施設、三重県南勢地域の鮮魚や肉、野菜などを販売するマルシェ、ケーキ店や石釜パン店、サスティナブルなオーガニック農園などが揃う商業ゾーンなどのほか、特徴ある飲食施設などが揃う。伊勢自動車道の上り線には、全国初の民間施設直結ICも新設され、伊勢神宮参拝客や伊勢志摩への観光客を呼び込むことも期待される。
 その他の集客施設では、愛知県豊田市の「鞍ケ池公園」がリニューアルし、キャンプ場やカフェなど都市近郊の癒し・ロハス空間として生まれ変わるのが注目される。ウィズコロナ時代の観光のトレンドとして、近場で楽しむマイクロツーリズムや、密を避けた開放的な観光地が人気を集めており、同施設もこうしたニーズに応えるものとなるであろう。

大型複合リゾート「VISON」(三重県多気町)イメージ

【各地で国際、全国レベルのスポーツイベント開催】

 今年、東海エリアで注目されるのが、国際レベル、全国レベルのスポーツイベントである。三重県では、「三重とこわか国体・三重とこわか大会」が9~10月にかけて開催される。国体としては、三重県では46年ぶり、東海エリアでは9年ぶりとなる。また、岐阜県では、昨年開催予定が延期となった「ねんりんピック岐阜2021」が10~11月にかけて開催される。その他、こちらも昨年開催予定が延期となった国際レベルの自動車ラリー「ラリージャパン2021」が愛知県、岐阜県を舞台に繰り広げられる予定である。
 静岡県では、東海エリアでは唯一の東京オリンピック・パラリンピック会場となる伊豆市、小山町で自転車競技が開催される。「トラック・レース」は、オリンピック・パラリンピックともに伊豆ベロドローム(伊豆市)で開催。「マウンテンバイク」(オリンピックのみ)は、伊豆マウンテンバイクコース(伊豆市)が会場となる。オリンピック「ロードレース」のゴールおよび「ロードレース・タイムトライアル」、パラリンピック「ロードレース」は、富士スピードウェイ(小山町)を中心に開催される。
 静岡県では、五輪を契機にサイクルスポーツを根付かせ、サイクリストの聖地“ふじのくに”を実現する取り組みも進める。東海エリアでは、2026年に、愛知・名古屋で「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」の開催が予定されており、これらのスポーツイベント開催の経験を繋げていきたい。 

【本格的な街のリノベーションが始まった】

 都市開発においては、リニア新時代に向けて、本格的なまちのリノベーションが始まっている。リニア中央新幹線が開通すると、東海エリアは名古屋を中心とする1時間圏内に7,000万人の大交流圏が生み出されることになり、これまでとは社会、産業、生活が大きく変容する。まだ収束の見えないウィズコロナ時代ではあるが、新しい生活様式に合わせ、都市、地域も新しい時代に向けて、旧来のスタイルから新しいスタイルへとまち自体がリノベーションし始めている。
 各地で百貨店や大型商業施設などの閉店が相次ぎ、それらはこれからの新しいスタイルに相応しい姿に生まれ変わろうとしている。名古屋の繁華街、栄の久屋大通公園には昨年9月に「Hisaya-odori Park」が開業し、旧来の都市公園が、全く新しい商業・公園空間に生まれ変わった。栄地区では、栄交差点の一等地の開発も進み、昨年11月にはパルコが運営する複合商業施設「ビーノ栄」が誕生するなど、栄のまちが徐々に変わり始めている。さらに、今後も丸栄百貨店の跡地再開発や、栄交差点の北東側にも複合商業施設などが計画されており、これらが完成すると、また繁華街・栄の様相が大きく変わる。栄地区では、商業施設のみならず、高層マンションの建設が続々と進んでおり、繁華街としての賑わいだけではなく、定住者が多い繁華街として、ますますの活気を呈そうとしている。
 一方、地方都市でも、愛知県豊橋市の駅前地区には市民のサードプレイス的な位置づけの施設としてまちなか図書館(仮称)や新しい発想の食料品店、住宅、広場などで構成される「em CAMPUS」が7月に誕生する。愛知県春日井市の西武百貨店をキーテナントとしていた「ザ・モール春日井」が閉店し、新たな商業施設として今秋に生まれ変わる。

建設が進む「emCAMPUS」(愛知県豊橋市)

【名二環の全線開通で高速道路ネットワークが充実】

 社会資本整備では、名二環(名古屋第二環状自動車道)の名古屋西JCTから飛島JCT間が2020年度中の開通を予定しており、都市圏環状道路として完全なリングの姿を現すことになる。中部国際空港が開港し、愛・地球博が開催された2005年あたりから、名古屋を中心とする高速道路網は新東名、新名神などの延伸など年々充実を続けてきたが、この名二環の全線開通により、さらに強力な高速道路ネットワークが完成することになる。物流、観光などの移動が至便になるばかりではなく、沿線地域の開発に大きく寄与することになるだろう。

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