埋もれている資産に焦点を当て“日本の価値を世界へ”。
荒井商事株式会社
企画・制作/中日新聞メディアビジネス局
提供/荒井商事株式会社

1920年、米穀・雑穀・飼料の卸商として創業した荒井商事株式会社(以下、荒井商事)。祖業を継承する食品流通事業に加え、二本柱となっているのが中古車オークション事業です。
1987年に中古車オークション事業へ参入して以降、乗用車やバイクはもとより、大型トラックやバンなどの商用車、建設機械・農業機械・フォークリフトの分野で独自のビジネスモデルを構築し、業界内で確固たる地位を確立してきました。
今回は、2023年に開設されたアライオークション名古屋会場を統括するオークション・カンパニー 執行役員の山本 岳彦氏に、荒井商事が手掛けるアライオークション(旧アライオートオークション)の特色や強み、名古屋会場への思いについて伺いました。
乗用車から商用車、建機までマルチな商材へ拡充

オークション・カンパニー 執行役員 営業本部 副本部長 中部・西日本エリア担当の山本 岳彦氏
荒井商事が中古車オークション事業に着手したのは、今からおよそ38年前。乗用車の取り扱いからスタートしました。その後、各地にオークション会場を開設し、乗用車のみならず、バン・トラックなどの商用車、建設機械や農業機械、産業機械、バイクなど多様な商材へと拡大。マルチオークションへと成長を遂げました。
オークションの主な流れは、ユーザー(消費者)から、中古車取扱事業者が車両・機械を買い取り、オークションに出品。別の中古車取扱事業者がその車両・機械をオークションで落札し、必要としているユーザー(消費者)へ販売するという仕組みです。
出品者と落札者をつなぐ会員制のBtoBオークションを展開するアライオークションでは、現在、会員数が約3万5000社を超え、取り扱い台数は1週間平均でおよそ8000台。中古車・中古機械の業界における流通の場の提供、市場価格の形成、流通市場の健全化を図るなど、オークションのプラットフォーマーとしての役割を担っています。
商用車の取り扱い台数日本最大規模! 年間約20万台

商材ごとに区画が設けられたオークション会場。総合機械の区画には建機や農機、産業機械などが並ぶ
中でもアライオークションの独自性を際立たせている分野が、バン・トラックなどの商用車や、総合機械と呼ばれる建設機械、農業機械、フォークリフトです。
バントラオークションで取り扱う商用車の年間出品台数は、約20万台と日本最大規模。総合機械オークションでは、建設機械、農業機械、フォークリフトを中心としたバラエティに富んだ商材を出品しています。
多様な商材を扱う上で、創意工夫も。一般的な中古車オークションでは、各社があらゆる商材を一括して週1日の開催日に出品するのが通例であるのに対し、アライオークションでは商材の種類ごとに曜日を設定して開催します。土曜日はバン・トラック、火曜日は総合機械、木曜日・金曜日は乗用車など、バイヤーたちが必要な商材に狙いを定めて参加しやすいように、買いやすい環境づくりにも尽力しています。「当然、開催日が増えればコストや労力もかかりますが、バイヤーの視点に立った仕組みを実現しています」と山本氏。中古機械に特化したオークションを毎週開催している企業として、オークション業界をリードしているのです。
“一物一価”の商材を的確に伝える独自の検査制度

搬入後、車両の状態を細かく確認しながら細部にいたるまで写真撮影
会員本位のアライオークションにとって最大の強みであり、信頼の礎となっているのが独自の検査システムです。「大きさや仕様がある程度、規格化されている一般的な乗用車とは異なり、トラックや建機・農機、フォークリフトなどは、用途ごとにパーツも構造も異なる。一つひとつ細かな仕様の違いがある、正に“一物一価”なのです。千差万別のアイテムを正確に検証し、微細かつ明解な情報としてオークションで発信するために、当社では独自の査定項目と基準を設けています」。
商材ごとに細かな検査項目を設け、トラブルのある箇所や状態を厳密にチェック。丁寧に状態を示した査定票や、細部にいたる写真のビジュアル情報も含めて、緻密に情報提供を行っているのです。
「当然ながら検査の精度を維持し、常に改善・向上を図っていくためには、人材の育成が不可欠です。検査員には知識・実技ともに徹底した研修・教育を行い、定期的にテストを実施。検査員のランク制度や優秀検査員の表彰など、モチベーションを高める施策にも積極的に取り組んでいます」と山本氏。「専門性の高い知識を有するスタッフの育成と、経験の中で積み上げてきたノウハウの継承が、当社の優位性となっています」との言葉に、誇りが宿ります。
さらに今後は独自の検査制度を体系化し、アカデミーとして外部事業者に提供する仕組みも検討中とのこと。「当社が構築してきたノウハウを社外の関連業者様にも提供することで、業界全体のレベルアップや日本が誇る商材の質・水準の向上にも貢献したいと考えています」。
こうした堅実かつ地道な取り組みは、成約率の高さとして結実しています。四輪オークションの成約率は、業界の平均成約率70%を大きく上回る88%という高い数字を記録。また、乗用車専業店だけでなく、建機専業店、トラック専業店、解体業者、輸出バイヤーなど多種多様な業態の会員企業が落札に参加し、取り引きを成功させている点も特長的です。成約率の高さは、こうしたアライオークションの多角的な取り組みと、幅広い事業者からの信頼度の高さを示しています。
個々の商材に関する仔細な情報は、インターネットを通したリモートでの競り(せり)にとっても有効です。独自に開発したインターネットサービス「AI-NET」により、店舗や自宅、外出先からも情報を正確に把握でき、遠隔で競りへの参加が可能に。オークション会場に足を運ばずとも参加できるのも魅力です。
製造業の聖地・愛知を拠点にさらなる飛躍を

名古屋市港区にあるアライオークションの名古屋会場
「当社では状態の良い商材のみならず、処分に困るような廃棄寸前の事故車やパーツといった商材も多く扱っています。日本国内では値が付かない中古品やパーツでも、海外では非常に高い人気を誇っています。“used in Japan, used by Japan”を一つのブランドとして、その価値を求める世界へと届ける。日本の価値を世界へ——。それこそが、我々の重要な役目だと考えています」と山本氏が熱く語ってくださいました。

充実した設備が整い、快適な環境下で競りに参加できる競り会場
海外との太いパイプを持つアライオークションにとって、海からも陸からもアクセス至便な新拠点として期待を集めるのが名古屋会場です。中部進出の構想が具体化し始めたのは、2013年頃。およそ10年もの時を経た2023年、アライオークション7つ目の会場として待望のオープンを果たしました。
敷地内には、天井を含め全方向に4Kカメラを備えた撮影棟を完備。リアルタイムで入札できる機器を備えた100席を誇る競りの会場や、出品者が競りの状況をリアルタイムで確認できる調整室なども備えています。

搬入された車両の状態を撮影する撮影棟。大型トラックも撮影できる大きな建屋
また、国際色豊かなアライオークションならではの設備やきめ細やかなサービスも。「会員の中には外国人バイヤーも多いことから、思い思いの時間に祈りを捧げられる礼拝室を設置。オークション当日に振る舞うハラルのカレーも好評です」。
「自動車産業を中心に製造業が盛んな愛知県に、中部初の拠点を得られたことは、荒井商事全体の事業にとってもターニングポイントになると感じています。モノづくりの聖地とも言うべきこの地で、多くのことを学ばせていただきながら、新たな『名古屋発』のビジネスを創造していきたいと考えています」と話す山本氏。名古屋を起点に新たな飛躍を期しています。